【研究室だより】テストステロン分泌を促す食品素材開発その2(実験準備)
前回の記事で、「中高年男性を元気にする」という課題に対し、「食品でテストステロンを高める」方法で課題解決を目指すべく研究を開始、と書きましたが、小職、20年以上前は糖尿病合併症を始めとする生活習慣病の研究をやっていました。
当時は糖尿病合併症の網膜症(糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症の一つで進行すると失明の危険があります)がどのように起こるのか、研究していた新しい生体内分子がどのように保護的に役立つか、というテーマに注力していたため、テストステロンに関することはやったことがありません。
転機となったのは、企業研究職となった時で、高血糖の方向けの機能性食品素材の研究を行っていた時です。そうした研究行っていた時に2型糖尿病患者は、血中のテストステロン値が低下する低テストステロン血症を高頻度に合併することを知りました。当初は糖尿病合併症やメタボリックシンドロームに係る観点から、高血糖状態が続くことでタンパクを筋肉に変える同化ホルモンであるテストステロンが下がる、という事実に興味を持ったことが小職のテストステロン研究のキッカケです。
いざ研究を開始するとなっても、すぐに動物やヒトを対象に実験は出来ません。まずは培養細胞を用いての検討から開始です。ちょうど、テストステロンを分泌するマウス精巣ライディッヒ細胞由来の細胞株I-10が細胞バンクより入手できますので、こちらを入手・培養して実験開始です。とはいえ初めて扱う細胞はなかなか気難しいものです。小職もいくつかの種類の培養細胞を扱った経験を持ってますが、血管内皮系が主体で精巣細胞系は初めてです。とりあえずこのI-10細胞が増える時間(細胞が2倍になる時間をダブリングタイムといいます)や、I-10細胞は培養容器底面にくっついて増える性質がありますけどそのくっつき具合(はがれやすいと実験が超面倒になります・・・)を把握したり、テストステロンは培地中に分泌されますのでテストステロンを測定してちゃんと分泌しているかを確認したり、テストステロン分泌促進が分かっている素材を陽性対照にしたりと、まあ探索系の構築・前準備・条件検討で結構時間がかかります。
試験する食品素材は予め収集していたものを素材ライブラリーとしていますので、これを溶媒に溶かして実験に供します。いよいよ素材探索実験開始です。
